2024年8月号|特集 アルファの夏!

⑯高橋幸宏『ニウロマンティック~ロマン神経症~』|サブスクで聴くアルファの歴史的名盤

会員限定

レビュー

2024.8.26


高橋幸宏
『ニウロマンティック~ロマン神経症~』

1981年6月5日発売

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1. ガラス
2. 大いなる希望
3. コネクション
4. 神経質な赤いバラ
5. 非・凡
6. ドリップ・ドライ・アイズ
7. カーテン
8. チャージ
9. 予感



神経症とロマンティックが交差する高橋幸宏の音楽的冒険

 アルバムタイトルの『ニウロマンティック』は、“ニューロティック(神経症)”と“ロマンティック”、そして“ニュー・ロマンティック”を組み合わせた造語であり、そのタイトル通り、繊細でありながらもロマンティックな音像が展開されている。特に「ドリップ・ドライ・アイズ」や「ガラス」といった楽曲は、ロマンティックなメロディとテクノ・ポップのリズムがみごとに融合しており、高橋の音楽的なヴィジョンが色濃く反映されている。

 本作の制作には、YMOのメンバーである細野晴臣や坂本龍一、ギタリストの大村憲司、さらにはロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイやフィル・マンザネラ、トニー・マンスフィールドといった豪華な顔ぶれが参加。特に、ロキシー・ミュージックの影響は顕著であり、彼らの音楽のエッセンスを取り入れつつも、高橋のセンスをフィルターとして機能させ、独特の作品として昇華させている。

文/油納将志