2024年8月号|特集 アルファの夏!

⑮シーナ&ロケッツ『真空パック』|サブスクで聴くアルファの歴史的名盤

会員限定

レビュー

2024.8.23


シーナ&ロケッツ
『真空パック』

1979年10月25日発売

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1. BATMAN THEME
2. YOU MAY DREAM
3. SENTIMENTAL FOOL
4. OMAEGA HOSHII (ONE MORE TIME)
5. LAZY CRAZY BLUES
6. MOONLIGHT DANCE
7. STIFF LIPS
8. HEAVEN OR HELL
9. I GOT YOU, I FEEL GOOD
10. YOU REALLY GOT ME
11. RADIO JUNK
12. ROCKET FACTORY



ロックとテクノの融合を試みた革新性と多様性をはらむYMO参加作

 シーナ&ロケッツの2ndアルバム『真空パック』は、YMOとのコラボレーションによって制作され、ロックとテクノの融合を試みた先駆的な作品である。プロデューサーには細野晴臣が名を連ね、坂本龍一や高橋幸宏も参加している。

 このアルバムの特徴、個性はロックが放つ熱気と、テクノの持つクールな面が絶妙にブレンドされている点だ。例えば、「BATMAN THEME」では、YMOのシンセサイザーが前面に出ており、シーナ&ロケッツのロックンロールスピリットとみごとに調和している。続く「YOU MAY DREAM」はフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドというよりもナイアガラ・サウンドからの影響とタイミング的、人脈的にも考えたくなるガールズ・ポップ✕テクノ・ポップ✕ロック。さらに「I GOT YOU, I FEEL GOOD」のカヴァーでは、ジェームス・ブラウンのソウルフルなエッセンスを取り入れつつも、ニュー・ウェイヴ調の曲として成立させている。

文/油納将志